2016年4月19日火曜日

渡辺邦男「異国の丘」

シベリアに抑留されていた兵士たちの間で歌われた曲が「異国の丘」である。
作詩の増田幸治も抑留者だったという。
終戦後最後まで内地に戻れなかったのがシベリア抑留者だった。家族は何年も不安なまま日本で夫の、父の、息子の帰還を待った。
まさにこの映画のように。
林芙美子の短編「下町」を思い出した。
夫のシベリアからの帰りを待つ妻りよが主人公だ。行商で静岡のお茶を売って歩いた。四つ木あたりが舞台だった。

2016年4月17日日曜日

今村昌平「黒い雨」

井伏鱒二の『黒い雨』を読んだのは6〜7年前だろうか。
おじさんとおばさんの役は北村和夫、市原悦子だった。ぴったりの役どころだ。
それにもまして田中好子がいい。
1989年公開。もうスーちゃんではかった。
美術も素晴らしい。爆心地の悲哀を見事なまで描き出している。
今村昌平、渾身の作品といえよう。

2016年4月14日木曜日

成瀬巳喜男「怒りの街」

先日観た「薔薇合戦」と同じく原作は丹羽文雄。同じく原作は読んでいない。
ロケシーンが多い。銀座あたりはわかるけれど、ほとんど場所がわからない。
戦後の混乱期が映し出されている。
三島由紀夫『青の時代』でとりあげられた光クラブ事件も言及されている。
成瀬映画の中では失敗作と評価されることが多いという。
すべての映画で成功する映画監督なんていない。