2019年1月30日水曜日

黒澤明「羅生門」

何度か観ている映画だが、ヴェネツィア国際映画祭やアカデミー賞で高い評価を受けた作品だけについかしこまって観ていたように思う。
歳をとったせいだろうか、こういった傑作をようやくリラックスして観ることができるようになった。
久しぶりに観てみるとなんともおもしろい。よくできている映画だ(と僕なんぞが口にするセリフではないけれど)。
シチュエーションは3つしかない。
終戦間もない日本で贅を尽くすことなく、アイデアで世界に挑んだ名作だ。

2019年1月20日日曜日

篠原哲雄「地下鉄(メトロ)に乗って」

いつだったか、テレビで放映されたときに視た映画。
原作は大人のおとぎ話を得意とする(勝手にそう決めている)浅田次郎だ。
原作は読んだだろうか、記憶は定かでない(映画にはタチの悪いシューシャインボーイが登場する)。
新中野の駅前商店街は伊東で撮影されたという。
東京メトロが全面的に協力している。早朝深夜のロケ撮影だったのではないか。
みち子の部屋から早暁の中野検車区が見える。
きっとすぐそばを神田川が流れていたにちがいない。

2019年1月19日土曜日

相米慎二「ションベン・ライダー」

下町探検隊のKさんと呑んでいたとき、柳橋から神田川を遡上してたどり着いた御茶ノ水駅近くの居酒屋で映画の話になった。
相米慎二監督の「ションベン・ライダー」は観ましたか、こんどぜひ観てみてください、みたいな話になった。
どういった経緯でそんな話になったのかまったく憶えていない。
YouTubeでレンタルして観た。
横浜でロケ撮影されている。
アーチ型の架道橋を鶯色の電車が通り過ぎる。京浜東北線と合流して、桜木町から関内に向かう横浜線だろう。
ということはその下を流れているのは大岡川だ。
三吉橋あたりでも撮影されている。遠くに横浜橋商店街が見える。
橋が架かっている。石川町駅をくぐって、東京湾にそそぐ中村川だろう。
公開は1983年。今流れをふさいでいる首都高速道路神奈川3号狩場線はこのときできていなかった。
横浜の空がまだ高かった時代の映画だった。
Kさんとそんな話をしたのかもしれない、まったく憶えていないけれど。

2019年1月17日木曜日

セルゲイ・エイゼンシュテイン「ストライキ」

帝政ロシア時代、労働者の反乱と権力側の鎮圧。
圧政の時代はもうすぐ終わろうとしている。
この映画はセルゲイ・エイゼンシュテインの長編第一作であるという。
そういう目で観てみると、若々しさや荒々しさが感じられる。
革命とは暴力なんだとつくづく思う。

セルゲイ・エイゼンシュテイン「戦艦ポチョムキン」

映画に不勉強なこともあり、名前は知っているが、内容のわからない映画が多い。
小説でいえば『失われた時を求めて』や『アンナ・カレーニナ』がそうかもしれない。
「戦艦ポチョムキン」は古いソ連映画で、ちゃんと観なければ、イエローサブマリンみたいなイメージのままだった。
帝政ロシアから共産主義国家へ、この国は大変貌をとげた。
その事実をいまだ知らされていない国民もおそらく多いだろう(と思えるほどの国土を持っている)。
この映画で試行錯誤された映画的な手法は後の映画に活かされているという。
象徴的なシーンであるオデッサの階段もそのひとつだ。
もちろんそんなことすら知らなかった。

2019年1月13日日曜日

ジェローム・ル・メール「ブルゴーニュで会いましょう」

2015年のフランス映画。
原題は「Premieres Crus」、はじめての収穫といった意味か。
映画館の予告編で観てみたいなと思った記憶がある。
ワインをつくるなんてたいへんな仕事なんだろう。
登場する農家の人々の顔がそう語っている。
主人公のワイン評論家シャルリはみごとなワインをつくってしまうけれど、それがまた映画のいいところでもある。

2019年1月6日日曜日

ジョージ・スティーヴンス「シェーン」

古くから正義の強者を希求してきたアメリカ映画の歴史はヒーローの歴史だ。
シェーンはその歴代ヒーローのなかでも屈指の存在といえる。
昔のヒーローは簡潔でわかりやすい。
不倫なんかしない。
そしてこの時代のヒーローは何度も何度もピンチを乗り越えることもなく、あっという間に悪者をやっつけてしまう。
続編でもっと強いやつが登場することもない。
シェーンがアメリカの永遠のヒーローであり続けるのはそのわかりやすさと潔さよさのせいだろう。

2019年1月5日土曜日

スティーヴン・スピルバーグ「プライベート・ライアン」

第二次世界大戦におけるノルマンディー上陸作戦が熾烈を極めたことは「スタンド・バイ・ミー」で父親を語るテディを見るだけでもわかる気がする。
1944年、ドイツ軍にはまだ勢いがあり、リアルな戦闘シーン(もちろん目の前で戦争を見たことはないが)には度肝を抜かれる。
アメリカの俳優を多くは知らないが、ミラー大尉の周囲にレイアウトされた脇役がいい仕事をしていると思った。

2019年1月4日金曜日

ジョン・スタージェス「OK牧場の決斗」

1957年の名作をはじめて観る。
西部劇もほとんど観たことがなく、新鮮な印象だ。
わかりやすい勧善懲悪もので、しかも正義の側がバート・ランカスターとカーク・ダグラス(こちらは悪党だけどこの事件に関しては正義の味方だ)と映画音痴の僕でも名前を知っている名優をそろえている。
悪いやつらが何をしでかすかといえば、メキシコで盗んできた牛を高く売りつけるという。
何ともアメリカ西部らしいのどかでスケールの大きい悪事である。
ボニーとクライドと同じようにこの映画も実際に起こった事件をベースにつくられている。
アメリカにも歴史はあるのだ。
シンプルなストーリーがヒット作には欠かせない要素だということがよくわかる映画である。

2019年1月3日木曜日

若松孝二「11・25自決の日 三島由紀夫と若者たち」

正月早々重苦しい映画を観た。
三島由紀夫の自決は少年時代の衝撃的な事件だった。
それからしばらく経って彼の作品を読むようになったが、その思想と行動はいまだによくわからない。
思想の狂気化、あるいは美学の暴走か。
市ヶ谷の防衛省前を通りがかるとき、50年近い昔そんな事件があったことを思い出す。

2019年1月2日水曜日

藤森雅也「かいけつゾロリZZのひみつ」

かいけつゾロリは以前仕事でお世話になった。
とあるお菓子のキャラクターとして起用され、テレビコマーシャルの企画を考えたのだ。
図書館で原作を何冊かまとめて読んだ(大人読みだ)。
子ども向けの図書としてロングセラーであるというが、大人が読んでもおもしろい。
作者の原ゆたかは僕たちの世代である。
随所になつかしいネタやおやじギャグが仕組まれている。
映画においても同様。
よく観ると大人だけがくすりと笑える箇所がいくつも隠されている。