2019年3月18日月曜日

川島雄三「青べか物語」

山本周五郎の原作を読んで、何度か浦安を歩いてみた。
そのせいもあって川島雄三監督のこの映画はぜひいちど観てみたいと思っていた。
原作も映画も舞台は浦粕(うらかす)という地名になっているが、浦安であることは明らかだ。
兄が営む造船所で少年工として働いていた吉村昭はここ浦安で終戦を迎えている。
今では東京都に隣接した町であるが、ついこのあいだ(といっても昭和30年代)までここは田舎の漁師町だった。
東野英治郎や加藤武ら名脇役や市川好郎、森坂秀樹(このふたりはキューポラコンビだ)ら子役たち、そして“ごったくや“の左幸子らが浦安弁をまじえながら貧しい社会の底辺を表現している。
それでいて屈託ない世界が描かれているのは川島雄三の持ち味といっていいかもしれない。