2020年1月30日木曜日

佐藤純彌「おろしや国酔夢譚」

大黒屋光太夫のすぐれた功績は、その奇異な体験を書き残したことにある。
江戸時代から漂流民は多くあったと言われる。
アメリカやロシアに漂着した者はむしろ幸運な方で、たいてい破船して海の藻屑となっている。
光太夫ら白子浦の水主たちは、カムチャツカの島に流れ着いた。
可能性としてはかなり低い。
そして漂流民となった日本人が当時のロシアで生還する可能性は皆無に等しかった。
日本への帰還も奇跡なら、一連の漂流民の生活が書き記されていたことも奇跡である。
まさに奇跡の映画だ。

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