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2023年1月3日火曜日

アーサー・ヒラー「夢を生きた男/ザ・ベーブ」

去年はヤクルトスワローズの村上宗隆がシーズン56本塁打をマークし、メジャーリーグでは大谷翔平が規定投球回数と規定打席数をクリアして、投手として15勝、打者として160安打、34本塁打を記録した。ともに規格外の選手で規格外の活躍だった。
大谷といえば、ベーブ・ルースと比較されることが多い。そもそもが投打両方で活躍した選手がいないからだ。
昨年録りためた映画をまとめて観るのが正月の暇つぶしになっている。
この映画でベーブ・ルースはホームラン打者としてだけでなく、投手としても登場する。
元祖二刀流を描いた貴重な作品だ。

2021年12月18日土曜日

市川準「トキワ荘の青春」

市川準はCM制作会社の演出だった。
先輩ふたりと独立してフリーランサーになったとき、彼の作品集リールに収められたフィルムはほんのわずかだったと聞いている。
厳密に言えば、制作会社時代の市川は演出助手だった。
それでも彼には独自の企画力=人間観があった。やがてCMディレクターとして無二の存在になる。そしてずっと昔からつくりたかった映画の世界に。
市川準の道のりは決して平坦ではなかった。
この映画で描かれる漫画家志望の若者たちと同じように。

2021年7月22日木曜日

周防正行「シコふんじゃった。」

1992年公開。
登場人物がみんな若い(当然のことだが)。大学生役の本木雅弘はもちろんのこと、老けた先輩の竹中直人も、教授の柄本明も。
清水美沙は「稲村ジェーン」の頃から好きな女優だった。
エンドロールに三宅弘城の名前を見つけた。どこかの大学の相撲部員役だったのかもしれない。ちょうどこの映画が製作されていた頃に日本化薬という会社の企業CMに出演してもらったことを思い出した。まだ普通にオーディションにやってくる青年だった。

2020年7月23日木曜日

フランク・ダラボン「グリーンマイル」

以前、NHKBSで放映されていたとき、途中から観た。
次は絶対最初から観るんだと決めていた。
原作はスティーブン・キング。
ホラー的な雰囲気もあるが、ファンタジー。
もういちど観たくなる映画である。

2020年1月30日木曜日

佐藤純彌「おろしや国酔夢譚」

大黒屋光太夫のすぐれた功績は、その奇異な体験を書き残したことにある。
江戸時代から漂流民は多くあったと言われる。
アメリカやロシアに漂着した者はむしろ幸運な方で、たいてい破船して海の藻屑となっている。
光太夫ら白子浦の水主たちは、カムチャツカの島に流れ着いた。
可能性としてはかなり低い。
そして漂流民となった日本人が当時のロシアで生還する可能性は皆無に等しかった。
日本への帰還も奇跡なら、一連の漂流民の生活が書き記されていたことも奇跡である。
まさに奇跡の映画だ。

2019年10月12日土曜日

山田洋次「息子」

父と息子と嫁は山田洋次が小津安二郎から受け継いだテーマか。
しっかり育てた兄、頼りない弟という構図は「東京家族」でもおなじみだ。
永瀬正敏といえば横浜ロケを思い出す。
デビュー作の「ションベンライダー」(相米慎二)「私立探偵濱マイク」など横浜がいちばん似合う俳優が東京の下町に溶け込んでいる。
都電荒川線の沿線がなつかしい。
三ノ輪橋、町屋、東尾久、川島征子の和久井映見が降りる停留所は飛鳥山だ。
哲夫が征子にラブレターを手渡す道端に石神井川の下流、音無川が流れている。

2019年9月24日火曜日

山田洋次「学校」


ロケ地は都電荒川線の小台か荒川遊園地あたりか。
京成電車の走る高架はおそらく町屋だ。
遠くに都電の踏切が見える商店街は梶原銀座に違いない。
再開発途上の南千住では遠くに隅田川貨物駅の建物が見えていた。
山田洋次の映画のなかでは「下町の太陽」「家族」が好きだ。
役者たちに力があって、演出を感じさせない。
この映画もそうだ。
西田敏行が大きな演技を抑えて、山田世界に溶け込んでいる。
すっかりなじんでいる。
夜間中学という設定自体にすでにテーマが見え隠れしているけれど、演出を超えたひとりひとりの演技に人々はきっと感動するのだろう。
田中邦衛、新屋英子、竹下景子。
誰もがみな素晴らしい。
映画そのものがいい学校だ。

2019年5月5日日曜日

林海象「私立探偵濱マイク 遥かな時代の階段を」

大型連休、横浜中華街で水餃子を食べ、関内、伊勢佐木町、横浜橋、野毛を歩いてみた。
相米慎二監督の「ションベン・ライダー」で少年永瀬正敏が走り回っていたあたり。
その後永瀬は私立探偵になって、やはり横浜にいた。
事務所は黄金町にあった横浜日劇。
少年時代は中村川に架かる橋の上を走っていたが、この頃は大岡川の橋を何度も渡る。
横浜はさほど身近な場所ではなかったけれど、なんとも懐かしい映画だった。

2019年4月29日月曜日

ティム・バートン「スリーピー・ホロウ」

ティム・バートンの作品では「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」や「チャーリーとチョコレート工場」を観ているけれど、実はそれくらいしか観ていない。
ドキドキわくわくするような映画を観ることが少なかったせいもある。
スリルがあって、スピード感があって、付いていくのがやっとである。
いずれもういちど観てみたい、平成の次の時代にでも。

2019年2月11日月曜日

エリック・ロメール「木と市長と文化会館 または七つの偶然」

何の予備知識もなく観た。
地方都市のドキュメンタリー映画かと思っていた。
フランスの田舎町サンジュイール市が舞台。
日本でもおなじみの都市部と農村の格差を浮き彫りにしている。
それでもさすがにフランス映画だ。
政治的な課題をとびきりおしゃれに描いている。

2019年1月5日土曜日

スティーヴン・スピルバーグ「プライベート・ライアン」

第二次世界大戦におけるノルマンディー上陸作戦が熾烈を極めたことは「スタンド・バイ・ミー」で父親を語るテディを見るだけでもわかる気がする。
1944年、ドイツ軍にはまだ勢いがあり、リアルな戦闘シーン(もちろん目の前で戦争を見たことはないが)には度肝を抜かれる。
アメリカの俳優を多くは知らないが、ミラー大尉の周囲にレイアウトされた脇役がいい仕事をしていると思った。

2018年12月30日日曜日

ロン・ハワード「アポロ13」


高校バレーボール部のM先輩は、もう何年も前に亡くなられている。
大手の広告会社のクリエイティブディレクターだったこともあり、OB会以外でもお会いしている(残念ながら仕事をごいっしょしたことはない)。
先輩のオフィスでばったり会うと「よう、ハンクス君」と声をかけてくださった。
僕がトム・ハンクスに似ているわけではない。
たまたま床屋に行った直後など、いつももさもさしている頭髪がすっきりしているとどことなくそう見えたのだろう。
大先輩から(M先輩は僕の14期も上にあたる)かけられたことばがうれしくて、トム・ハンクスの映画はよく観るようになった。
ひたすら走り続けたり、夢の列車の車掌になったり、見知らぬ土地の空港に閉じこめられたり。
ストーリーはさまざまだがつい誘いこまれてしまう。
この映画は実話がベースになっている。
とりあえずよかったなとほっとしている。

2017年3月10日金曜日

ロバート・ゼメキス「フォレスト・ガンプ」

ロバート・ゼメキスは時空間を縦横に飛びまわって映画をおもしろくする天才だ。
この映画はとりわけ観る人を幸せにする特別な才能を持っている。
バックに流れるその時代時代の音楽がまた心地いい。
今、幸せな気分に包まれている。

2017年2月17日金曜日

黒澤明「まあだだよ」

黒澤明30作目の作品。
原作は内田百閒。
戦中戦後の目まぐるしい時代をのどかな師弟愛でつつみこんでいる。
松村達雄はいつもいいお父さんだったり、目立たないけどいい芝居をする脇役だったりする。今回は先生役でしかも主役。ちょっと頼りなさそうな主役だけれど内田百閒がモデルならそれも納得できる。
奥さんは香川京子、教え子の代表格は井川比佐志。ユーモアに富んだ先生のキャラクターを所ジョージや寺尾聰、平田満、岡本信人らがしっかり支えている。
先生とともに黒澤明の人生もその数年後、静かに幕を閉じることになる。
これが最後の作品であると思うとちょっとうらやましい映画人生だったのではないかと思えてくる。

2015年3月27日金曜日

フレッド・スケピシ「ミスター・ベースボール」

選抜高校野球がはじまった。
春は野球だ。
先日、凍えるほど寒い日に東京都春季大会の予選を観に行った。今年もたくさん試合を観たい。
景気づけにこの映画を観た。
昨年の今ごろ亡くなった叔父が中日ドラゴンズのファンだったことを思い出した。

2014年11月2日日曜日

今村昌平「うなぎ」

吉村昭の短編「闇にひらめく」が原作ということでうまそうな蒲焼を期待して観た今村作品。
うなぎを獲るには獲るが、うなぎ獲りではなく主人公は床屋になる。
しかもご丁寧に刑務所入りのきっかけやら仮釈放のようすまで描いてあって、期待はずれも甚だしい映画だった。

2014年7月20日日曜日

小泉尭史「雨あがる」

山本周五郎の『おごそかな渇き』を読む。
おごそかな渇きをおぼえたわけではないのだが、レンタルDVDで「雨あがる」を観る。
地方都市で旨い蕎麦に出会い、帰京後そのまま神田の蕎麦屋でまた蕎麦をたぐるみたいな、上手なたとえじゃないけれど、そんな映画の観方。
最後、主君が三沢伊兵衛を追って、馬を駆る。このシーンが映画にしかないところ。
そのあとどうなるかって?そんなこと、ここには書かないよ。