20代の半ばでテレビコマーシャルの制作会社に潜りこんだ。ほんの駆け出しの頃、実相寺昭雄監督の仕事をすぐ傍で見せてもらったことがある。
ラッシュ編集を終え、制作進行の先輩が「監督、ナレーターはどうしましょうか」と訊く。監督は「ノウちゃんがいいんじゃないか」ということですぐに決まった。ノウちゃんとは俳優の寺田農。実相寺監督の映画にも何本か出演していたらしい(当時はそんなことすら知らなかった)。
ノウちゃんの語りは朴訥でアナウンサーみたいに喋るプロのナレーターとはまったく異なっていた。おそらくねらい通りだったのだろう、監督はその語りを2~3テイク重ねてOKを出した。
寺田農は本来不器用な俳優なのかもしれない。あるいは不器用を演じることができる稀有な人なのかもしれない。相米慎二監督のこの映画を観て、強く感じた。
2025年4月8日火曜日
2025年2月24日月曜日
フィリップ・カウフマン「ライトスタッフ オリジナル版」
「ライトスタッフ」は好きな映画でテレビで放映されていたのを録画したのが最初である。
3時間20分録画できるベータのテープに何とか収まったという憶えがある。
DVDプレーヤーを買ったとき、1枚もソフトを持っていなかった。はじめて買ったDVDは「ライトスタッフ」だった。
テレビでオリジナル版が放映されていた。どこがオリジナルなのかわからなかったが、ついつい見てしまった。
昔のように夢中になって見たわけではないが、夢中になって見ていた頃をちょっとだけ思い出した。
3時間20分録画できるベータのテープに何とか収まったという憶えがある。
DVDプレーヤーを買ったとき、1枚もソフトを持っていなかった。はじめて買ったDVDは「ライトスタッフ」だった。
テレビでオリジナル版が放映されていた。どこがオリジナルなのかわからなかったが、ついつい見てしまった。
昔のように夢中になって見たわけではないが、夢中になって見ていた頃をちょっとだけ思い出した。
2024年12月10日火曜日
森崎東「時代屋の女房」
阿佐ヶ谷ラピュタまで映画を見に行く。森崎東監督の「時代屋の女房」だ。十年以上前に見ているが、もう一度。
時代屋はかつて大井町に実在した古物商の店である。ロケも主に大井町駅辺りで行われており、懐かしい大井町の風景に出会える。大坂志郎がクリーニング店の店主を演じている。アイロンがけする大坂の後ろを横須賀線の電車が通り過ぎる。西大井駅ができる前のことである。
夏目雅子が買い物する魚屋は二葉一丁目の、大井町線のガード下にあった商店街だ。今は区画整理され、武蔵小山に通じる広い通りになってしまった。
時代屋はかつて大井町に実在した古物商の店である。ロケも主に大井町駅辺りで行われており、懐かしい大井町の風景に出会える。大坂志郎がクリーニング店の店主を演じている。アイロンがけする大坂の後ろを横須賀線の電車が通り過ぎる。西大井駅ができる前のことである。
夏目雅子が買い物する魚屋は二葉一丁目の、大井町線のガード下にあった商店街だ。今は区画整理され、武蔵小山に通じる広い通りになってしまった。
2023年3月18日土曜日
高畑勲「柳川堀割物語」
柳川は町の中に長大な水路を持っている。干潟の上にできたこの土地は真水を得ることが難しい。
堀割の歴史は古いという。江戸時代になって現在の水路は整備されたらしいが、堀割はそれ以前からあったという。
川から水を引き、貯め、飲料水、生活用水として町で共有する。水はゆっくり海へと流れていく。翌朝になると堀割には新しい水が貯えられる。飲料水を汲むのはどの家庭でも早朝の仕事だったという。野菜や食器も洗う。汚水は流さない。洗濯した汚水は別に掘った穴に流す。定期的に水を抜いて、水草やゴミを取り除く。棲みついていた鮒や鯉などは市場に出し、あまったものは住民でわけ合う。これは水落としといって、祭礼なども営まれた。共同体のルールは自ずとできあがっていた。
高度経済成長期には柳川も上水道が整備された。堀割は荒れた。住民たちの、水の大切さに対する思いが希薄になってきたのが原因ではないかと。そして1977(昭和52)年、幹線水路以外を埋め立てて下水道を整備する計画が生まれる。汚い、臭い、蚊が大量発生するなど環境は悪化していた。
この計画に意を唱えた市職員がいた。当時市下水路係長広松元である。広松は上水道の役割を終えた堀割も地盤の維持や洪水時の排水路として機能することを主張。地盤が軟弱な干潟をコンクリートやアスファルトでおおい、農業用に地下水を汲み上げれば、確実に地盤沈下が起こる。また堀割は川であると同時に池でもある。洪水時の増水を一時的に貯め込むことができる。
かくして、柳川の堀割は再生したのである。
高畑勲が柳川に出向いたのは、アニメーション映画の舞台としてのロケハンだったという。そこで広松の話を聞き、ドキュメンタリー映画の制作を思い立ったという。
充実した2時間45分だった。
2022年4月30日土曜日
ハル・アシュビー「レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー」
1983年公開のローリングストーンズドキュメンタリームービー。
81年のツアーをベースに製作されているので83年リリースのアルバム「アンダーカバー」に収録された楽曲はない。
当時の新曲は「スタート・ミー・アップ」(同名でアルバムタイトルになっている)、「友を待つ」である。
選曲が渋い。
玄人好みの印象を受ける。
ひさしぶりにストーンズを堪能した。
2022年4月29日金曜日
宮崎駿「魔女の宅急便」
もう何度も何度も観ているのに、テレビで放映されるとついつい視てしまう。
子どもの弱さが哀しくて、せつなくて、少しだけうれしい映画だ。
子どもの弱さが哀しくて、せつなくて、少しだけうれしい映画だ。
公開されて30年以上経つというのにその読後感は変わらない。
古い映画が好きなのは、つくり手の「若さ」に出会えるからだ。
2022年4月23日土曜日
馬場康夫「私をスキーに連れてって」
1987年は今から35年前。
昔といえば昔だが、出演者の多くと自分が同じ世代であると思うとそう遠くない昔に思えてくる。
昔といえば昔だが、出演者の多くと自分が同じ世代であると思うとそう遠くない昔に思えてくる。
スキーは流行っていいたけれど、僕は誰かをスキーに連れて行ったこともなければ、連れて行かれたこともない。いちどもスキーをしたことがない。
三上博史、沖田浩之、原田貴和子がアマチュア無線のトランシーバーで交信するシーンがある。
この映画によってアマチュア無線ブームが再燃したと言われているが、そうだったのかなあと思う程度。
たしかに携帯電話のなかった時代、無線は便利だったろうと思う。
2022年2月28日月曜日
ベルナルド・ベルトルッチ「ラストエンペラー」
1987年公開の大作である。
劇場では観ていなくて、テレビで放映されたときに何度か観ている。
公開された当時は、清王朝の最後であるとか、満州建国など歴史的なことにはほとんど興味がなかったことを思い出す。
愛新覚羅溥儀の弟溥傑は昭和天皇の遠縁にあたる嵯峨浩と結婚する。
嵯峨侯爵邸は現在の杉並区郷土資料館になっている。
浩はこの邸から、結婚式場である軍人会館(現九段会館)に向かったという。
2021年11月7日日曜日
森川時久「童謡物語」
吉村昭『蜜蜂乱舞』が原作。
養蜂のことをこの本を通じて知った。
養蜂のことをこの本を通じて知った。
養蜂には定置養蜂と移動養蜂があり、花を求めて全国を旅する後者は莫大な労力とコストがかかるため、減少しているらしい。
ドラマは九州から北海道まで1年のうち7ヶ月を費やして蜂蜜を採取する家族の物語である。
蜜蜂は暑さにも寒さにも弱く、またスズメバチなど天敵もいる。
無事に全国を走りまわって一定量の蜂蜜を得ることは並大抵のことではない。
原作もそうだが、映画でも蜜蜂と暮らす縦糸にさまざまな人間ドラマを横糸にして展開していく。
主人公俊一、妻弘子(これは原作の主人公伊八郎とその妻利恵の長男とその妻の名である)は小学生の息子と弟子の清司と旅を続ける。
行った先の学校に転校生として迎え入れられる覚は原作には登場しないが、地元の子どもらのなかで儚い小学生時代を過ごす少年の視点がいい味付けになっている。
それにしても第一次産業に従事する井川比佐志はいい。
なにものにも代えがたい役者だ。
2021年9月18日土曜日
フィル・アルデン・ロビンソン「フィールド・オブ・ドリームス」
オリンピック、パラリンピックはそれなりに盛り上がりを見せたけれど、今年スポーツ界を振り返る上で(まだ終わったわけではないけれど)最大の功労者は間違いなく、アナハイムエンジェルスの大谷翔平である。
ホームラン王のタイトルを獲れるかどうか微妙になってはいるけれど、秋になってもワクワクが止まらない。この映画はずいぶん以前に観たが、大谷の活躍に刺激を受け、もういちど観たいと思っていた。
折しも先月BSで放映されたので録画しておいた。
少年たちが野球の夢を追いかける国に生まれてよかったと思う。
2020年10月10日土曜日
スティーヴン・スピルバーグ「E.T.」
観ていないのに観たつもりになっている映画は多い。
この映画はテレビで放映されて、何度か観はじめて、何度も途中でやめてしまっている。途中から観て、最後だけ観た記憶もある。通して観たことがなかった。
最初から最後まで通しで観て、何度か既視感に襲われながら、結果としていい映画だと再認識する。2時間ほどの映画ではあるが、シリーズ化されてもよかったと思う。
2020年8月4日火曜日
相米慎二「翔んだカップル オリジナル版」
思春期というのは大人の幼虫みたいなもので、いったいどのような思考回路で生きているのかたいへんわかりにくいものである。
もちろん大人になったからといって、計算通り、予定調和的に生きていくわけでもない。
人はみな、大人になる前の乳幼児期を意識的に過ごして成長していくはずなのに、ふりかえってみると奇妙奇天烈な日々を過ごしている。
そしてこうした恥ずかしい日々はすっぽりと記憶から抜け落ちてしまう。
相米慎二は、人間の、不思議な生きもの時代を描くのがうまい。
不完全なものを不完全に表現できることはたいせつなことだと思う。
この映画1980年に公開されたのち、オリジナル版としてその3年後に公開されている。
最初の公開版を観ていないので、どこがどうオリジナルなのかはわからない。
ロケ地は日大二高だという。
そういわれてみるとそんな気もする。
2019年12月31日火曜日
スティーブン・スピルバーグ「レイダース/失われたアーク」
年末の慌ただしい最中、BSでインディアナ・ジョーンズ。
何度観てもおもしろい映画こそ、本当におもしろい映画なのかもしれない。
行った先々でのトラブルにポジティブに向かい合う不死身のヒーローは、アメリカ映画の定石。
大学教授で専攻が考古学というのもインテリジェンスを感じさせる。
すごい映画だ。
何度観てもおもしろい映画こそ、本当におもしろい映画なのかもしれない。
行った先々でのトラブルにポジティブに向かい合う不死身のヒーローは、アメリカ映画の定石。
大学教授で専攻が考古学というのもインテリジェンスを感じさせる。
すごい映画だ。
2019年8月1日木曜日
深作欣二「火宅の人」
一般にはこの映画のタイトルどおり火宅の人だったと思われている(たぶん)。
檀一雄は長く石神井公園の近くに住んでいた。
それはCMプロデューサーだったご子息檀太郎氏の知人から聞いた。
大泉学園にある東映撮影所でCM撮影が行われたとき、その妹である檀ふみは自宅から自転車でやってきたという。
そんな話も昔知り合いのCMプロデューサーから聞いた。
石神井公園でロケ撮影も行われており、リアリティを感じるシーンになっていた。
2019年2月2日土曜日
エリック・ロメール「緑の光線」
主人公のデルフィーヌはめんどくさい女子。
偏屈でとうていモテそうにない。
こういう女性に感情移入できてしまう人もきっといるだろうけれど、めんどくさそうなのであまりお付き合いしたいとは思わない。
季節はバカンスシーズン。
大きなビーチがあるのはビアリッツ、フランス南西部スペインに近いリゾート地だ。
コートダジュールとは海の色が違う。
偏屈でとうていモテそうにない。
こういう女性に感情移入できてしまう人もきっといるだろうけれど、めんどくさそうなのであまりお付き合いしたいとは思わない。
季節はバカンスシーズン。
大きなビーチがあるのはビアリッツ、フランス南西部スペインに近いリゾート地だ。
コートダジュールとは海の色が違う。
2019年1月19日土曜日
相米慎二「ションベン・ライダー」
下町探検隊のKさんと呑んでいたとき、柳橋から神田川を遡上してたどり着いた御茶ノ水駅近くの居酒屋で映画の話になった。
相米慎二監督の「ションベン・ライダー」は観ましたか、こんどぜひ観てみてください、みたいな話になった。
どういった経緯でそんな話になったのかまったく憶えていない。
YouTubeでレンタルして観た。
横浜でロケ撮影されている。
アーチ型の架道橋を鶯色の電車が通り過ぎる。京浜東北線と合流して、桜木町から関内に向かう横浜線だろう。
ということはその下を流れているのは大岡川だ。
三吉橋あたりでも撮影されている。遠くに横浜橋商店街が見える。
橋が架かっている。石川町駅をくぐって、東京湾にそそぐ中村川だろう。
公開は1983年。今流れをふさいでいる首都高速道路神奈川3号狩場線はこのときできていなかった。
横浜の空がまだ高かった時代の映画だった。
Kさんとそんな話をしたのかもしれない、まったく憶えていないけれど。
相米慎二監督の「ションベン・ライダー」は観ましたか、こんどぜひ観てみてください、みたいな話になった。
どういった経緯でそんな話になったのかまったく憶えていない。
YouTubeでレンタルして観た。
横浜でロケ撮影されている。
アーチ型の架道橋を鶯色の電車が通り過ぎる。京浜東北線と合流して、桜木町から関内に向かう横浜線だろう。
ということはその下を流れているのは大岡川だ。
三吉橋あたりでも撮影されている。遠くに横浜橋商店街が見える。
橋が架かっている。石川町駅をくぐって、東京湾にそそぐ中村川だろう。
公開は1983年。今流れをふさいでいる首都高速道路神奈川3号狩場線はこのときできていなかった。
横浜の空がまだ高かった時代の映画だった。
Kさんとそんな話をしたのかもしれない、まったく憶えていないけれど。
2018年12月24日月曜日
ジム・ジャームッシュ「ダウン・バイ・ロー」
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」に続いて観たのがこの作品。
同じようにモノクロームだが、ストーリーが明快でわかりやすい(はちゃめちゃなコメディであることに変わりはないけれど)。
アメリカ南部、おそらくニューオーリンズの湿地帯と枯れ木の風景が印象的な映画だ。
同じようにモノクロームだが、ストーリーが明快でわかりやすい(はちゃめちゃなコメディであることに変わりはないけれど)。
アメリカ南部、おそらくニューオーリンズの湿地帯と枯れ木の風景が印象的な映画だ。
2018年12月22日土曜日
ジム・ジャームッシュ「ストレンジャー・ザン・パラダイス」
80年代、あまり映画を観なかったにもかかわらず、この映画は衝撃的だった。
全編モノクローム、娯楽大作が主流のアメリカからこんなに静かな映画がやってくるなんて思いもしなかったからだ。
まるで昔のフランス映画やイタリア映画と見まごうばかり(というかそんなに観ちゃいないんだけど)。
舞台はニューヨーク、クリーブランド、フロリダと移ってゆく。
短い黒みが挿入されるのが特徴的だ、昔の地下鉄銀座線みたいに。
ロードムービーというより、メトロムービーと言っていい。
全編モノクローム、娯楽大作が主流のアメリカからこんなに静かな映画がやってくるなんて思いもしなかったからだ。
まるで昔のフランス映画やイタリア映画と見まごうばかり(というかそんなに観ちゃいないんだけど)。
舞台はニューヨーク、クリーブランド、フロリダと移ってゆく。
短い黒みが挿入されるのが特徴的だ、昔の地下鉄銀座線みたいに。
ロードムービーというより、メトロムービーと言っていい。
2018年12月6日木曜日
富野由悠季「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」
ガンダムのテレビシリーズにはORIGINもあれば、続編もあった。
1988年公開だから30年以上も前のことである。
ア・バオア・クーの激戦の後、みんなどうなったんだろうかと心配していたが、アムロもシャアも生きていた。ミライさんはブライトと結婚して子どももいた。
あとは知らない人ばかりだった。
1988年公開だから30年以上も前のことである。
ア・バオア・クーの激戦の後、みんなどうなったんだろうかと心配していたが、アムロもシャアも生きていた。ミライさんはブライトと結婚して子どももいた。
あとは知らない人ばかりだった。
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