2019年2月23日土曜日

ベン・リューイン「500ページの夢の束」

自閉症というのは(たぶん)経験したことはないが、どことなくわかる気がする。
スタートレックも見たことはないけれど、なんとなくわかる気がする。
 他のことはともかくスタートレックに関してなら、とてつもない創造力を発揮する自閉症の女子がサンフランシスコからロスアンゼルスへ旅に出る。
パートナーであるチワワのピートが圧倒的にかわいい。
ロス市警のスタートレックおたくの警官もいかしている。
ハラハラしどうしだけれど、最後はほっとあたたかい気持ちになれた。

2019年2月22日金曜日

ジェームズ・サドウィズ「ライ麦で出会ったら」

J.D.サリンジャーのThe Catcher In The Ryeは何度か読んでいる。
野崎孝訳で読んで、ペーパーバックで読み、村上春樹訳も読んだ。
1992年、はじめてニューヨークを旅したときもセントラルパークのメリーゴーランドだけは絶対見たいと訪ねた。
ホールデン・コールフィールドに感情移入するしょうもない若者はいつの時代にもいる。
サリンジャーを訪ねるしょうもない高校生のロードムービーどいった趣きではあるが、まさかキャスティングされたサリンジャーに会えるとは思わなかった。
永遠に隠遁している人でもよかったんじゃないかとも思う。

2019年2月11日月曜日

エリック・ロメール「木と市長と文化会館 または七つの偶然」

何の予備知識もなく観た。
地方都市のドキュメンタリー映画かと思っていた。
フランスの田舎町サンジュイール市が舞台。
日本でもおなじみの都市部と農村の格差を浮き彫りにしている。
それでもさすがにフランス映画だ。
政治的な課題をとびきりおしゃれに描いている。

2019年2月9日土曜日

ルイ・レテリエ「グランド・イリュージョン」

4人のマジシャンがスケールの大きい犯罪を企てる。
たね明かしもされるのだが、マジックというのはなんでもできてしまうフレームだ。
マジシャンたちより彼らを追いかける側に視線が注がれる。
「オーケストラ」の天才バイオリニストだったメラニー・ロランがいればなおさらだ。
続編も公開されたようだが、残念ながら彼女はいない。

2019年2月6日水曜日

瀬々敬久「菊とギロチン」

昨年公開され、評価の高かった映画を観る。
大正時代に興業のあった女相撲とアナキスト集団にもし接点があったとしたらという発想から生まれた作品。
明治から大正へ時代が移る。この時代、日本はあらゆる可能性を秘めた少年時代だったのかもしれない。
高い理想を持ち続けた若者たちは次々に排除されていく。
大正デモクラシーの黄昏がはじまっていた。

2019年2月2日土曜日

エリック・ロメール「緑の光線」

主人公のデルフィーヌはめんどくさい女子。
偏屈でとうていモテそうにない。
こういう女性に感情移入できてしまう人もきっといるだろうけれど、めんどくさそうなのであまりお付き合いしたいとは思わない。
季節はバカンスシーズン。
大きなビーチがあるのはビアリッツ、フランス南西部スペインに近いリゾート地だ。
コートダジュールとは海の色が違う。

2019年2月1日金曜日

ニール・ジョーダン「オンディーヌ 海辺の恋人」

光文社古典新訳文庫にジャン・ジロドゥ『オンディーヌ』という戯曲があり、そのうち読んでみようかと思っていた。
これはその映画化されたものかと思っていたが、どうやら違うようだ。
ファンタジーを思わせながら、ちょっとおどろきの結末に向かっていく。
子役のアニー(アリソン・バリー)がいい。
オンディーヌが歌うとエビや魚がたくさん獲れるのはどうしてなんだろうという疑問は残るけれど。