2013年5月5日日曜日

小津安二郎「東京暮色」

父笠智衆と子連れで実家に帰って来た長女原節子、そして大学卒業後自分を見いだせないまま悪い連中と交友を続ける次女有馬稲子が雑司が谷の坂上の家に住んでいた。この坂から望む東京の風景は残されているのだろうか。はるか昔に家を出た母山田五十鈴は五反田の雀荘で働いていた。近くに池上線の高架があり、駅は大崎広小路だ。
ラストで男と北海道に旅立つ母。上野発の夜行急行津軽に乗り込み、長女の見送りを待つ。上野駅の12番線では明治大学の校歌を歌う若者らがいる。
母親の不倫、長女夫婦の不和、次女の堕胎と重いストリーのなかを淡々と生き抜く笠智衆。妙に軽快なB.G.M.はあたかも彼への応援歌であるかのようだった。

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