2017年1月23日月曜日

野村芳太郎「ゼロの焦点」

ごく普通の(仮にそんなものがあるとすればだが)殺人事件が松本清張の眼鏡を通して見ると複雑な様相を呈してくる。
人を殺す動機は、憎しみでも恨みでも金銭トラブルでもなく、消し去りたい暗い過去なのだ。
それでもってやっかいなのは誰もが好きで暗い過去を引きずって生きているわけではないということだ。
松本清張の想像力はそんな人間の本質のど真ん中を抉っていく。

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