2019年6月28日金曜日

本多猪四郎「ゴジラ」

子どもの頃は怪獣映画というだけでわくわくして観たものだが、そもそもゴジラとはいかなるメッセージをたずさえて生まれてきたのだろう。
水爆実験に対する批判かもしれない。
だとしたらこの映画は強烈だ。
原爆で終わらせた戦争からまだ10年にも満たない敗戦国の首都東京がふたたび火の海につつまれる。
逃げまどう子どもたちの様子は復興半ばである。
今となってはCM音楽になってしまっているが、この映画の音楽は戦後日本の映画音楽を代表するものと言っていい。
ゴジラはこの先、メッセージ性を薄めていくように思える。
最初のゴジラはいちばんたいせつにしたいゴジラだと思っている。

2019年6月18日火曜日

ロナルド・ニーム「ポセイドン・アドベンチャー」

何度も観ているのにもう一度観たい映画の最高峰といえるのが「ポセイドン・アドベンチャー」だ。
何度も観ているのに何度も息を止めて観てしまう映画は後にも先にもこれしかない。
パニック映画が本格化したのが1970年代と言われているが、この映画はまさしく嚆矢といえ、その後「タワーリング・インフェルノ」「ジョーズ」が生まれる。
ジーン・ハックマン演じる風変わりな牧師スコットをはじめ、サバイバーたちのキャラクター設定が素晴らしく、文句ばかりでいつも誤解されがちな刑事ロゴなんか、とてもいい人じゃないかと思う。
この暑苦しい男ふたりに導かれて生還する男女。
もちろん落命したものだっている。
緊迫の脱出劇の直前までは呑気に新年のカウントダウンをしていた。
この元祖パニック映画の主題歌「モーニング・アフター」をモーリン・マクガバンがさわやかに歌う。
なんとも凝った趣向である。

2019年6月3日月曜日

本多猪四郎「三大怪獣地球最大の決戦」

スクリーンにゴジラが登場したのが1954年だという。
2作目の「ゴジラの逆襲」など次々にヒットし、この映画は第5作。
ゴジラもラドンも地球を守るためにキングギドラと戦う。
後にテレビで「ウルトラQ」、「ウルトラマン」が放映されて怪獣ブームがはじまる。
この映画もおそらく映画館で観ているだろうが、1964年の公開時ではなく、当時どの町にもあった二番館、三番館で小学生になってからだと思う。
大井町や戸越公園に映画館があった時代をなつかしく思うと同時に付き合ってくれた親たちに感謝したい。