2019年11月7日木曜日

川島雄三「特急にっぽん」

獅子文六の『七時間半』では架空の特急列車ちどりが舞台。
東海道本線が全線電化されたとはいえ、電気機関車がけん引する特急列車では東京大阪間は7時間半かかっていた。
後に、この映画の舞台となる電車特急こだまが登場し、東京大阪は6時間半で結ばれる。
原作と映画のあいだに1時間の差がある。
背景には当時の鉄道技術の日進月歩がある。
2020年開業予定のJR山手線高輪ゲートウェイ駅付近には田町電車区(後に田町総合車両センター)という車両基地があった(田町駅寄りには東京機関区という機関車の基地があった)。
1960年、鉄道全盛期のなつかしい風景からこの映画ははじまる。
列車内のドタバタはおそらく車両基地に停めて撮影したのだろう、原作に輪をかけた喜劇が繰り広げられる。
フランキー堺は喜劇だけの俳優では決してないけれど、やはりコメディアンとして秀逸だ。
ずっと観たかった映画をようやく観ることができた。

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