2014年6月9日月曜日

松山善三「名もなく貧しく美しく」


しまったことをしてしまった。
僕が古い映画を好んで観るのは、昔の町並みを見たいがためだ。
少年時代に日常として見てきた東京を眺めたいのだ。
映画や小説と町歩きをテーマにした本もよく読む。この映画についても実は予備知識があった。
秋子と道夫は渋谷の東急線が山手線を跨ぐあたりで話し込む。上野動物園のあと道夫がもらった卵を割ってしまうのは鶴見線の鶴見小野駅だ。三宿あたりの家を飛び出した秋子と追いかける道夫が駆け込む駅は大塚だ。
こんな具合にその場所場所に目が行ってしまうとそれはおかしいだろとツッこんでみたくなってしまう。せっかくの名作を前に、俺はいったい何をしてるんだろう。
結末に関して賛否はあるかもしれないが、やはりこの映画は名作だった。松山善三の、魂のシナリオだった。

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