朝から仕事だったので、前の晩は駅前のビジネスホテルに泊まった。夕飯のあと、町を歩いてみた。この町が成瀬巳喜男の名作「乱れる」の舞台だと知っていれば、巴川沿いや鉄舟寺など行くべき場所はいくらでもあったのに。
礼子に呼び出されて、幸司が石段を上っていく。その見晴らしのいい寺に礼子の亡夫、幸司の兄が眠る。
鉄の舟の寺。いかにも港町清水らしい名前だ。
「僕は姉さんが好きだ。なぜそれがいけないんだ」
加山雄三の真っ直ぐな台詞がいい。
温泉の飲み屋の浦辺粂子もいい。
「おら60年、この村からどっこも出たこたねっす。山の木立みたいなもんだ」
ラストシーンは高峰秀子の真骨頂。迫真の演技だ。
もういちど清水の町を歩いてみるのも悪くない。
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