2014年6月29日日曜日

市川崑「おとうと」

3月に母の弟(僕にとっては叔父)が亡くなった。母とは8つ歳がはなれていた。
母は7人きょうだいの5番めだが、まさか弟が先に逝くとは夢にも思わなかったろう。
幸田文の原作を読んだときは泣けた。
不思議なことに、映画だと金持ちではないけれど学校に通わせてもらって貧しいながらも人並みの生活をしているきょうだいの「おとうと」がぐれたあげく、結核になって死ぬというそれだけの話になっている。
すごくいい人が病に倒れるからドラマになるんじゃないかって思う人は多いだろう。
おまえのような放蕩息子なんかかわいそうでも何でもない。
客観的にはそうだろう。
げんだけが碧郎のほんとうの心を知っている。だから幸田文は『おとうと』と題した。
映画にももっと姉目線であってよかったんじゃないか。

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