2021年9月23日木曜日

ジョン・ギラーミン「タワーリング・インフェルノ」

休日、NHKBSで「タワーリング・インフェルノ」を観る。
パニック映画の嚆矢と言われるこの映画。製作は「ポセイドン・アドベンチャー」のアーヴィン・アレンである。
超高層ビルの火災。鎮火するまでの間にさまざまな人生ドラマが挿入される。分厚い作品に仕上がっている。
屋上の貯水タンクに水が入っててほんとうによかった。

2021年9月18日土曜日

フィル・アルデン・ロビンソン「フィールド・オブ・ドリームス」

オリンピック、パラリンピックはそれなりに盛り上がりを見せたけれど、今年スポーツ界を振り返る上で(まだ終わったわけではないけれど)最大の功労者は間違いなく、アナハイムエンジェルスの大谷翔平である。
ホームラン王のタイトルを獲れるかどうか微妙になってはいるけれど、秋になってもワクワクが止まらない。
この映画はずいぶん以前に観たが、大谷の活躍に刺激を受け、もういちど観たいと思っていた。
折しも先月BSで放映されたので録画しておいた。
少年たちが野球の夢を追いかける国に生まれてよかったと思う。

2021年9月3日金曜日

野村芳太郎「拝啓天皇陛下様」

阿佐ヶ谷ラピュタの長門裕之特集でもう一本観たかった映画がこれだ。
渥美清がいい、長門裕之もいい。なににもましてふたりの友情が素晴らしい。
配役もよかった。西村晃、加藤嘉、左幸子、桂小金治、藤山寛美、穂積隆信、多々良純、清川虹子、森川信、上田吉次郎、中村メイコ…。
それぞれの脇役がいい仕事をして、この友情物語をしっかりと支えていた。

2021年8月20日金曜日

今村昌平「豚と軍艦」

ラピュタ阿佐ヶ谷で長門裕之を特集している。
残暑厳しいなか、訪ねてみる。
終戦後まもない横須賀を舞台に破滅的に生きるチンピラ役が長門裕之。
横須賀の町は知らないけれど、知っていたとしたら懐かしい風景に出会えたに違いない。
養豚場のはるか向こうに灯台が見えていた。
観音埼灯台であろう。
木下恵介「喜びも悲しみも幾年月」を思い出した。

2021年7月22日木曜日

周防正行「シコふんじゃった。」

1992年公開。
登場人物がみんな若い(当然のことだが)。大学生役の本木雅弘はもちろんのこと、老けた先輩の竹中直人も、教授の柄本明も。
清水美沙は「稲村ジェーン」の頃から好きな女優だった。
エンドロールに三宅弘城の名前を見つけた。どこかの大学の相撲部員役だったのかもしれない。ちょうどこの映画が製作されていた頃に日本化薬という会社の企業CMに出演してもらったことを思い出した。まだ普通にオーディションにやってくる青年だった。

2021年6月28日月曜日

石川慶「蜜蜂と遠雷」

本屋大賞だの直木賞だのとずいぶん話題になった原作を読んだのが一昨年2019年10月。
ちょうどこの映画が公開された頃だ。
読み終わって、映画も観てみたいと強く思ったものの、あと何週間かで、映画が安く観られるようになるというケチな気持ちに後押しされて、結局見そびれてしまったのである。
はやくアマゾンプライムで観れないかなとかテレビで放映しないかななどと観たい気持ちとケチな心を保持しながら、待った甲斐あり。
ようやく観ることができた。

2021年2月15日月曜日

ケニー・オルテガ「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」

先日、BSで見るともなく見てしまったマイケル・ジャクソンのドキュメンタリー。
ロンドンを皮切りに、世界をコンサートしてまわる予定だったという。
そしてそのロンドン公演の直前にマイケルは帰らぬ人となる。
ライブ映画ではない、ただのリハーサル映像である。
それでも2時間近く堪能できてしまうのが、さすがキング・オブ・ポップである。

2021年1月4日月曜日

ロバート・ワイズ、ジェローム・ロビンズ「ウエスト・サイド物語」

アメリカは歴史にめぐまれない国ではあるけれど、こうしたミュージカル映画などを観ると着実に伝統を創造してきたことがわかる。
この映画から、新たな映画やエンターテインメントが誕生していった。
時間軸のなさをスケール感で補っているようにも思う。
それにしてもこの映画の舞台となった時代の青少年たちはろくでもない縄張り争いや抗争をくりかえしていたようだ。
もちろんその背後に自由主義経済、移民、貧困といった問題が浮かび上がってくる。
1961年といえば、ジョン・F・ケネディが大統領に就任した年であり、それ以降、ベトナムに対するアメリカの軍事介入が強まる。
この映画で描かれている社会問題がベトナム戦争の拡大に結びついているのではないかという考えは少し穿ちすぎかもしれないが、ここに登場する若者たちの多くが戦場に送り出されたことは(たぶん)たしかなことだと思う。


2020年12月26日土曜日

ジョージ・ルーカス「アメリカン・グラフィティ」

以前、『罪と罰』を読んだことがない作家たちがどんな話なのかを議論する(そして少しづつ読んでいく)本があり、とてもおもしろく読ませてもらった。
題名は知っているけれど、どんな映画かわからない作品が僕の場合、多い。
この作品もそのひとつだ。
要するに、これは「スタンド・バイ・ミー」の青春版なのだと気づく。
そうじゃない。
「スタンド・バイ・ミー」がこの映画の少年版なのだ。
「ララランド」を先に観て、「巴里のアメリカ人」を後で観た。
それと似た感覚。
60年代のアメリカはどれだけガソリンを燃やしていたのだろう。
2050年に見直したら、自動車が蒸気機関車に見えるかもしれない。

2020年10月10日土曜日

スティーヴン・スピルバーグ「E.T.」

観ていないのに観たつもりになっている映画は多い。

この映画はテレビで放映されて、何度か観はじめて、何度も途中でやめてしまっている。途中から観て、最後だけ観た記憶もある。通して観たことがなかった。

最初から最後まで通しで観て、何度か既視感に襲われながら、結果としていい映画だと再認識する。2時間ほどの映画ではあるが、シリーズ化されてもよかったと思う。

2020年9月12日土曜日

内田吐夢「飢餓海峡」

まぎれもない名作であるが、原作を読んだこともなく、映画も観たことはなかった。内田吐夢監督の映画もおそらくはじめて。

やはりこういう映画は観ておかなくてはいけない。たとえそれが3時間であろうが4時間であろうが(実際のところ録画したものを二日にわけて観た)。

10年前の事件。証拠はない。記憶と証言だけが頼りだ。

人を信じるか、信じないか。これはたいせつなことだ。人間として深い問題を含んでいる。

2020年9月7日月曜日

藤田敏八「赤ちょうちん」

タイトルは赤ちょうちんだが、赤ちょうちんは出てこない。主題歌もかぐや姫の「赤ちょうちん」だが、赤いマフラーをして銭湯から帰るシーンはあるが、その歌詞は「神田川」のもので「赤ちょうちん」ではない。

かといって題名から想像できる内容の映画ではないとも言えない。1970年代の空気がそこに漂っている。どこかで見たことのある風景が連なる。どこにでもあるような町が映し出される。どこかにいたであろう若者たちが住んでいる。

でも、人も町も風景も遠い過去になってしまっている。

2020年9月1日火曜日

曽利文彦「ピンポン」

漫画が原作という映画は多い。

松本大洋原作のこの漫画を雑誌に連載されている頃から読んでいた。映画化されると聞いて、楽しみにしていた。

というわけでもう何度も観ている。今回で何回目になるだろう。

それでも月本が井浦新だったのか、とか脚本は宮藤官九郎だったんだとクレジットを見てはじめて気が付くことも多い。

僕はこの映画の、どこを観ていたのだろう。

先日藤沢に行ったことを思い出した。

2020年8月26日水曜日

川村泰佑「映画 ひみつのアッコちゃん」

綾瀬はるかのいいところは(女優なんだから当然のことかもしれないが)なり切れるところだと思う。大人なのに小学生なんだという役であれば、とことんなり切る。世の中には絶対いないだろう役を見事に演じてみせる。

すごい役者だなと思う。

2020年8月24日月曜日

クリント・イーストウッド「ハドソン川の奇跡」

トム・ハンクスの映画には実話を題材にしたものが多い。「アポロ13」、「プライベート・アイアン」など。この映画も2009年に実際起った不時着事故がベースとなっている。

ただ「アポロ13」のように生還までのドラマを追う話ではなく、事故後の検証を舞台にしているところがなかなかおもしろい。

監督はクリント・イーストウッド。著名な俳優でもあった人だが、なにぶん映画は不勉強なもので彼の出演した映画も監督した作品もほぼ観ていない。

それにしてもいいシナリオだった。

2020年8月21日金曜日

宮崎吾朗「コクリコ坂から」

原作は漫画。舞台は横浜。この映画を観るまでは知らなかった。

コクリコ坂は山手から元町に通じる坂道と言われている。山下公園を歩いたりもする。1964年当時の横浜はもはやアニメーションでなければ再現できないだろう。

港南学園は希望ヶ丘高校がモデルらしい。横浜の名門校だ。

2020年8月17日月曜日

羽住英一郎「おっぱいバレー」

先週のことだったか、夢に綾瀬はるかがあらわれた。どうしたわけか、デートすることになった。彼女はお気に入りの女優であることはたしかだが、夢のなかに登場するほど大ファンだったろうか。

女性の教師がある日、ある学校にやってきて、事件を起こして去っていく映画やドラマはパターンとしてあるものの、動機が不純すぎて過ぎてかえっておもしろい作品になっていた。

元カレと再会を果たしたところで「このおっぱいはわたしだけのものじゃないの」と拒絶するシーンは笑えた。

どんなに理不尽であっても人間は「約束」を大切にする素晴らしい生きものだということと、中学生というやつらは(自分も含めて)なんと下等な生きものであるかということをこの映画から学んだ。

2020年8月16日日曜日

フランクリン・J・シャフナー「猿の惑星」

先日、南房総に墓参りに行ってきた。

幼少の頃は夏休みになると祖父が迎えに来てくれて、姉と3人、両国駅から列車に乗って行ったものだが、アクアラインができて以降、房総、とりわけ内房の旅はモータリゼーションが急速に進んだ。往きも帰りも高速バスである。気がつけば、僕たちを連れに来た祖父の年齢になっている。

往復のバスのなかで村上春樹の『一人称単数』を読んだ。

人間のことばをしゃべる猿が登場する短編がある。だからというわけではないけれど、猿のことばをしゃべる人間が登場する映画を観た。

 1968年、50年以上前の作品。

子どもの頃は、学校でもちょっとした話題になった映画だった。なにせ猿の方が人間より進化しているなんて、それだけでもじゅうぶんおもしろい。

2020年8月10日月曜日

森谷司郎「日本沈没」

 小松左京原作の『日本沈没』は1973年にベストセラーになったSF小説で、その年に映画化もされている。

僕は中学生で映画とは無縁の生活を送っていたけれど、当時話題になった本と映画という記憶だけは残っている。

50年近い時を隔てて観てみると、まあ怪獣の出てこない大人の特撮映画だったことがわかる。

今だったらコンピュータグラフィックスを駆使したりするのだろうが、当時はミニチュアをつくって破壊したり、燃やしたりしていたのだろう。

50年近く経って、コンピュータグラフィックスを駆使することもできない僕がとやかく言うのことではないが。

2020年8月4日火曜日

相米慎二「翔んだカップル オリジナル版」

思春期というのは大人の幼虫みたいなもので、いったいどのような思考回路で生きているのかたいへんわかりにくいものである。
もちろん大人になったからといって、計算通り、予定調和的に生きていくわけでもない。
人はみな、大人になる前の乳幼児期を意識的に過ごして成長していくはずなのに、ふりかえってみると奇妙奇天烈な日々を過ごしている。
そしてこうした恥ずかしい日々はすっぽりと記憶から抜け落ちてしまう。
相米慎二は、人間の、不思議な生きもの時代を描くのがうまい。
不完全なものを不完全に表現できることはたいせつなことだと思う。
この映画1980年に公開されたのち、オリジナル版としてその3年後に公開されている。
最初の公開版を観ていないので、どこがどうオリジナルなのかはわからない。
ロケ地は日大二高だという。
そういわれてみるとそんな気もする。

2020年7月23日木曜日

フランク・ダラボン「グリーンマイル」

以前、NHKBSで放映されていたとき、途中から観た。
次は絶対最初から観るんだと決めていた。
原作はスティーブン・キング。
ホラー的な雰囲気もあるが、ファンタジー。
もういちど観たくなる映画である。

2020年7月14日火曜日

ウッディ・アレン「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」

コロナウイルス感染拡大はまだ収束には遠い。
ひさしぶりに来た映画館は、ひとつおき、一列おきに座席が指定されていた。
平日の昼間だから、さほど多くの客がいるわけではない。
ウッディ・アレンの新作は、いつものように(といっていつもそうだかどうかわからないけれど)おしゃれなドタバタ劇だった。
いったいラストはどうなってしまうんだろう、そんな心配をしながら観ていた。

2020年6月20日土曜日

ジョン・スタージェス「老人と海」

ヘミングウェイの『老人と海』を読んだとき、思い出したのは、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』だ。
ずいぶんひさしぶりにこの映画を観たけれど、どうしたわけか相米慎二「魚影の群れ」を思い出した。
サメが登場する場面の音楽は、昔からこういう曲なんだなと思った。

2020年6月8日月曜日

熊井啓「黒部の太陽」

吉村昭の小説に『高熱隧道』という黒部峡谷のトンネル工事を題材にした長編小説がある。
工事現場の岩盤は熱く、摂氏70度を超える。
ダイナマイトが自然発火したという。
この映画のトンネル工事の舞台は、関電トンネル。
長野県大町と富山県立山町を結んでいる。
高熱隧道のシーンが回想される。
トンネル工事の撮影場所は、建設会社の工場内に再現されたという。
熾烈な工事を再現する過酷な撮影現場もさることながら、(三船プロダクションと石原プロモーションによる)独立プロダクション製作というかつてない困難な道を切り拓いた大作である。

2020年6月5日金曜日

チャン・フン「タクシー運転手」

韓国映画をひさしぶりに観た。
ずいぶん前にもよく観たことがあったけれど、あまり記憶に残っていない。
思い出せるのは、「大統領の理髪師」「南極日誌」「猟奇的な彼女」「僕の彼女を紹介します」くらいか。
要するにソン・ガンホとチョン・ジヒョンを憶えているに過ぎない。
この映画もソン・ガンホ。
時代背景としては「大統領の理髪師」より後だが、似た空気を宿しているように思う。
たいへんおもしろい映画であった。

2020年6月3日水曜日

アルフレッド・ヒッチコック「サイコ」

観たつもりでいてちゃんと観てなかった映画のひとつ。
ずいぶん昔に五反田駅に近い川沿いの映画館で観たつもりだった。
たしか「レベッカ」と二本立てだったような気がしているが、人の記憶はあてにならない。
睡魔に襲われたのかもしれない。
こうして観てみると、やはりホラーサスペンス映画だ。
音楽が素晴らしい。
ヒッチコックの映画だから当然彼も出演しているはずだろうが、気が付かなかった。

2020年5月29日金曜日

サム・ペキンパー「昼下がりの決斗」

主役は元保安官のジャッドだと思うけれど、「スティング」のように主役が複数という映画はよくある。
最後に生き残るのはどっちだろうなどと余計なことを考えてしまう。
西部劇というと乾いた質感、彩度の低い映像を思いうかべるが、色鮮やかな映画だった。
さすがアメリカのシネレンズと思った(機材のことまではわからないけど)。

2020年5月25日月曜日

井上梅次「嵐を呼ぶ男」

すぐ近くを山手線の電車や貨物列車が通り過ぎていく。
石段を上がったところに主人公国分正一の実家であるアパートがある。
裕次郎坂と名付けた人がいるという。
当時の人ではないし、その時代に観たわけではないから、映画については何とも言えないが、やっぱり石原裕次郎って人はスターなんだなと思う。
こんど裕次郎坂を見に行こう。

2020年5月22日金曜日

舛田利雄「あゝひめゆりの塔」

1968年。
沖縄は、まだ占領下にあった。
戦後の日本がいちばん熱かった年につくられた映画である。
思っていた以上にゆさぶられるものはなかった。
なぜだろう。
淡々と沖縄戦を追いかけた映画という印象だ。

2020年5月20日水曜日

チャールズ・チャップリン「独裁者」

NHKBSでまたしてもチャップリン。
1940年公開という。
微妙な時期に微妙な映画をつくったものだと思う。
他の作品(もちろんすべてを観たわけではないが)とくらべても、ツッコミが浅い。
チャップリンが何を訴えたかったのか、世の中に何を残したかったのかがよくわからなかった。